浸水した家電は通電してよい?水害後の公的機関の案内と確認先

この記事の目次
水害のあと、乾いて見える家電に電気を通してよいのかは判断しにくいものです。停電中・離れるとき・戻ったときの行動の続きとして、ここでは水に浸かった機器に絞り、公的機関の文書を機関ごとに分けて整理しました。
この記事の結論
- NITEは2021年の発表で、水に浸かった電気製品を「そのまま使用しないでください」としています。内部に水・泥・塩分が残り、使用再開時に火災のおそれがあるためです。
- 確認先はメーカー・販売店です。分電盤(ブレーカーが並ぶ箱)や屋内配線は電気工事店で、これは編集部の整理です。
- 浸水の深さや乾燥日数で「使える」と判断する基準は、確認した公的資料に書かれていません。
水に浸かった家電について、公的機関が書いていること
- NITE(製品評価技術基盤機構)、2021年8月26日の発表:水がかかったり水に浸かったりした電気製品は「そのまま使用しないでください」。内部に水が残ったり、泥や塩分が付着したりして、使用再開時に火災を引き起こすおそれがあります。
- 消費者庁、2023年8月29日(経産省・NITEと同時発表):水に濡れた家電の内部に水分や泥・塩分が残り、通電時に電気回路基板から発火するおそれがあります。
- 川崎市消防局のチラシ:一度水に浸かった電気機器は使用せず、メーカーに相談します。
NITEの別の資料「災害により浸水した家電製品の事故」も、外観が乾いても内部に水や異物が残り、火災につながるおそれがあると書いています。見た目が乾いていることと、内部が無事なことは別です。
品目ごとの扱いや、浸水の深さ・乾燥日数による線引きは、確認した公的資料に記載がありません。
なぜ危ないのか:内部のショートと、時間がたってからの出火
川崎市消防局のチラシは、分電盤や家電などの電気機器の内部が水に濡れ、内部の回路がショートして出火した事例を挙げています。
消防庁予防課は、水害による停電からの再通電時に電気機器や電気配線から火災のおそれがあるとして、2020年9月と2021年8月に注意を出し、2020年7月には自治体へ周知を求めています。2020年9月の通知は、水害後の再通電では外見に損傷がなくても、壁内配線の損傷や機器内部の故障で、再通電から長時間たった後に火災に至る場合があると書いています。
通電火災の仕組み全般は通電火災とは?にあり、この記事は水害の場面に絞ります。
通電する前に:まず切って、聞く先を分ける
水害で停電している間は、水に濡れた電気機器のスイッチを切り、電源プラグをコンセントから抜きます(千葉市消防局、2026年9月7日更新)。そのあとは、濡れたものごとに確認先が分かれます。
水に浸かった・濡れた家電
NITEは文書で言い方が違います。2021年の発表は「そのまま使用しないでください」、PDFは外観を確かめて慎重に動作確認し、正常に動作しない場合や異音・異臭があれば直ちに使用を中止してメーカーや販売店に相談、という案内です。動作確認をしてよい条件も、確認した資料に見当たりません。
分電盤・屋内配線・コンセントが濡れたとき
川崎市消防局のチラシは、電線・引込線・屋内配線の損傷を目で見て確認し、異常があれば電気業者に連絡するよう書いています(水害に限った記述ではありません)。確認先を電気工事店とするのは編集部の整理です。ブレーカーを入れてよいか、いつ入れるかは、確認した公的資料にありません。
浸水を免れた家電
外観を見て、ブレーカーを入れ、1台ずつ使う手順は消費者庁が示しており、通電火災の記事にあります。
異常を見つけたとき
煙などの異常があれば、直ちにブレーカーを落として消防機関へ連絡します(消防庁の通知。濡れた分電盤の操作は、この記事では示せません)。異音・異臭があれば使用を中止し、メーカーや販売店へ相談します(消費者庁、NITE)。
向いている人・向いていない人
向いているのは、水害への備えとして、濡れた家電を誰に聞くのかを知っておきたい人です。
向いていないのは、次の人です。
- 実際に浸水した家の復旧作業中の人。自治体・メーカー・電気工事店への直接の相談が先です。
- 家電の乾燥・分解・修理の方法を知りたい人。確認先はメーカーと販売店で、手順は対象外です。
- 処分の方法を知りたい人。自治体の案内によります。
- 太陽光発電設備が浸水した人。太陽光発電協会のチラシは、パネルや機器の一部でも水没・浸水が確認されたら、家電が冠水したときと同様に通電せず手も触れず、販売店・施工店に連絡するよう案内し、感電やけがのおそれにも触れています。
- 在宅医療機器を使う人。
医療機器を使っている場合
停電や浸水時の対応は、主治医・機器メーカー・自治体に事前に確認しておきます。この記事では、医療機器の扱いは示せません。
停電への備え全体は停電対策に何を用意する?、復旧までの日数の実例は停電は何日続く?にまとめています。


