ポータブル電源の選び方:容量・出力・電池の種類で失敗しない
この記事の目次
ポータブル電源の仕様表には、Wh、定格出力、瞬間最大出力、サイクル寿命といった数字が並び、何を基準に選べばいいのか迷いやすいものです。この記事では製品のおすすめはせず、製品を比べる前に「自分に必要な条件」を決めるための数字の読み方と順番を、公的機関やメーカーの公開情報をもとに整理します。
この記事の結論
次の順番で条件を決めると、製品を比べるときに見る項目がはっきりします。
- 容量(Wh):使う家電の「消費電力(W)× 使う時間(h)」を足し、変換ロスの目安0.8で割って決める
- 定格出力(W):同時に使う家電の消費電力の合計より大きくする。起動時に大きな電力が必要な家電は「瞬間最大出力」も見る
- 電池の種類:サイクル寿命と重さのどちらを重視するかで、リン酸鉄と三元系を比べる
- そのほか:充電方法、出力波形(正弦波か)、UPS機能、保管・処分・飛行機・医療機器の扱いを、買う前に確認する
ポータブル電源で何ができるか:まず用途を決める
ポータブル電源とは(モバイルバッテリー・発電機との違い)
ポータブル電源は、内蔵の電池にためた電気を、家庭と同じコンセント(AC)やUSBの差し込み口から使える機器です。家庭のコンセントと同じ交流の電気を出せるので、スマホの充電が中心のモバイルバッテリーと違い、家電をそのままつなげます。
燃料で動く携帯発電機とも仕組みが違います。発電機の排ガスには一酸化炭素が含まれます。
発電機は屋内・車内・テント内で使わない
消費者庁は、携帯発電機を「屋内では絶対に使用しない」よう呼びかけ、自動車内やテント内も屋内と同等の危険があるとしています。NITE(製品評価技術基盤機構)の検証では、四畳半ほどの締め切った部屋で使うと、8分後に一酸化炭素の濃度が2,000ppmを超えました(ppmは100万分の1を表す単位で、2,000ppmは0.2%)。発電機を使う場合は取扱説明書を読み、使い方はメーカーに確認してください。
ポータブル電源は燃料を燃やさないため排ガスは出ませんが、それだけで安全というわけではありません。可燃性の電解液を含むリチウムイオン電池が複数入っており、一度発火すると次々に燃え広がり、大きな火災につながるおそれがあるとNITEは注意を呼びかけています。屋内で使う場合も、衝撃や高温を避ける必要があります(後の「安全面」の項で説明します)。
用途を決めると、優先する数字が決まる
停電・防災、キャンプ、車中泊のどれに使うかで、先に見る数字が変わります。持ち運ぶなら重さ、停電に備えるなら容量と充電の手段が先に来ます。
まず「何を」「何時間(何日分)」「同時にいくつ」動かしたいかを書き出してください。この後の計算にそのまま使えます。用途ごとに先に見る項目は、後の「用途別」の章に表でまとめています。
ポータブル電源が向いている人・ほかの備えで足りる人
向いている人
- 停電のときに、冷蔵庫・電気毛布・パソコンなど、コンセントにつなぐ家電を使いたい人
- キャンプや車中泊など、コンセントのない場所で家電を使いたい人
ほかの備えで足りる、または先に確認が必要な人
- 停電時に必要なのがスマホの充電と明かりだけの人。東京都は災害時に必要なものの例として、モバイルバッテリー(乾電池式・ソーラー充電式)と懐中電灯を挙げています。内閣府のページでは、停電時に作動する足元灯や懐中電灯などを準備している世帯は約43%(防災世論調査)と、半数に満たないことが紹介されています
- 医療機器の停電対策を考えている人。ポータブル電源で足りるかを自分で判断せず、後の「医療機器に使いたい場合」を先に読んでください
容量(Wh)の選び方:使う家電と時間から計算する
W(ワット)とWh(ワットアワー)の違い
- W(ワット):その瞬間に使う電気の大きさ。家電では「消費電力」として書かれています
- Wh(ワットアワー):ためておける、または使った電気の量
2つの関係は「消費電力(W)× 使用時間(h)= 電力量(Wh)」です(環境省、日本電機工業会)。たとえば1,200Wのドライヤーを6分(0.1時間)使うと、1,200W × 0.1h = 120Wh です。
ポータブル電源の仕様表にある「容量」は、このWhで書かれています。どれだけの時間家電を使えるかは、Whで比べます。
家電の消費電力の調べ方
家電の消費電力は、本体に貼られたシール(消費電力・電圧・電流の記載)、取扱説明書、カタログで確認できます(環境省)。計算には、実際に使う家電の数字を使うのが基本です。
参考として、環境省が示している平均的な目安を載せます。製品ごとに異なるので、あくまで目安です。
| 家電 | 消費電力の目安 |
|---|---|
| 電子レンジ | 1,500W |
| ジャー炊飯器 | 1,300W |
| ドライヤー | 1,200W |
| エアコン | 660W |
| 冷蔵庫(450L) | 250W(※) |
| 液晶テレビ(42型) | 210W |
出典:環境省。※冷蔵庫はずっとこの電力を使い続けるわけではありません(下の「冷蔵庫」の項を参照)。
計算式と変換ロスの目安
必要な容量の目安は、次の式で出します。
必要な容量の目安(Wh)= 消費電力(W)× 使う時間(h)÷ 0.8
「0.8」は変換ロスを見込んだ目安の係数です。電池にためた直流の電気を家庭用と同じ交流に変えるときに、一部が熱などとして失われます。メーカーの解説ページでは、この変換効率は一般に約80%とされ、「使える時間(h)= 容量(Wh)× 0.8 ÷ 消費電力(W)」という式が紹介されています。別のメーカーの解説ページでも同じ0.8の式が使われています。上の式は、これを「必要な容量」を求める形に直したものです。
実際に使える時間はポータブル電源と家電の性能で変わるとされているので、0.8はあくまで目安として、少し余裕を持って選んでください。
計算例(環境省の目安値を使用)
- 液晶テレビ(210W)を3時間:210W × 3h = 630Wh → 630Wh ÷ 0.8 = 787.5Wh → 約800Wh以上が目安
- 液晶テレビ(210W)を3時間+ドライヤー(1,200W)を6分:630Wh + 120Wh = 750Wh → 750Wh ÷ 0.8 = 937.5Wh → 約940Wh以上が目安
複数の家電を使うときは、家電ごとのWhを足してから0.8で割ります。ドライヤーのように消費電力が大きい家電は、容量だけでなく、次の章の「定格出力」が足りるかも確認します。
冷蔵庫のように「動いたり止まったりする」家電の注意
冷蔵庫は、いつも同じ電力を使っているわけではありません。冷やすためのコンプレッサーが動いている間に、まとまった電力を使います(メーカーの解説)。そのため、消費電力(W)にそのまま24時間を掛けると、大きめに見積もりやすくなります。
同じ解説では、年間消費電力量を1年の時間数で割って、1日を通した平均の消費電力の目安を出す方法が紹介されています。
平均の消費電力の目安(kW)= 年間消費電力量(kWh/年)÷ 8,760時間(Wにするには1,000倍します)
一方で、冷蔵庫は起動時に瞬間的に大きな電力を必要とする家電です(メーカーの解説)。容量は平均で見積もり、出力は起動時の電力で考えます。冷蔵庫の見積もり方は、別の記事で詳しく解説する予定です。
出力(W)の選び方:定格出力と瞬間最大出力
定格出力は「同時に使う家電の消費電力の合計」より大きく
定格出力は、ポータブル電源が安定して出し続けられる電力です。つなぐ家電の消費電力が定格出力を上回ると、その家電は使えません(メーカーの解説)。
同時に使う家電があるときは、消費電力を合計して考えます。環境省の目安値で計算すると次のとおりです。
- 電子レンジ(1,500W)と炊飯器(1,300W)を同時に使う:1,500W + 1,300W = 2,800W → 定格出力が2,800Wを上回る必要がある
- 1台ずつ順番に使うなら、大きいほうの1,500Wを上回っていれば足りる計算
参考までに、家庭のコンセントも1か所で使えるのは合計1,500Wまでです(15A × 100V = 1,500W、家電メーカーの解説)。テーブルタップ(延長コード)にも接続できる最大の消費電力が決められていて、超えて使い焼損した事例があります(NITE)。ポータブル電源から延長コードで複数の家電をつなぐ場合も、延長コード側の上限を確認してください。
電子レンジは「出力」ではなく「消費電力」を見る
電子レンジの仕様表には、「消費電力」と「高周波出力」(食品を温める力)が別々に書かれています。あるメーカーの電子レンジの仕様表では、レンジ機能の消費電力が1,400W、高周波出力が1,000Wでした(1,000Wは最大3分の短時間の値で、連続して使うときの高周波出力は600W)。
ポータブル電源の定格出力と比べるのは、大きいほうの「消費電力」です。「1,000Wの電子レンジだから、定格出力1,000Wで足りる」とは限りません。
起動時に大きな電力が必要な家電と瞬間最大出力
モーターなどを使った家電は、動き始めるときの電流が大きくなります(家電メーカーの案内)。メーカーの解説でも、電子レンジ・冷蔵庫・エアコンなどは起動時だけ瞬間的に大きな電力を必要とするとされています。
これに対応するのが、仕様表の「瞬間最大出力」(サージ出力)です。ポータブル電源がごく短い時間だけ出せる最大の電力のことで、家電の起動時の電力がこれを上回ると使えません(メーカーの解説1、メーカーの解説2)。
起動時にどれくらいの電力が必要かは、家電によって違います。気になる家電は、取扱説明書を確認するか、家電メーカーに問い合わせてください。
出力波形(正弦波)も確認する
家庭のコンセントの電気は「正弦波」という、なめらかな波の形をしています。ポータブル電源には、四角い波(矩形波)を階段状にして正弦波に近づけた「修正正弦波」を出す製品もあります(メーカーの解説)。矩形波や疑似正弦波の電源で動かせる電子機器は限られ、ノイズが出る場合があるとされています(電源装置メーカーの解説)。
正弦波でないと不具合が出やすい機器の例として、パソコン、テレビ、電子レンジ、冷蔵庫、炊飯器、扇風機、位相制御式の電気毛布・こたつなどが挙げられています(メーカーの解説)。車載用電源装置のメーカーのFAQでも、電子コントロールの毛布や調光器、位相制御を使った機器は正弦波でしか使えないとされています。
仕様表の「出力波形」が「正弦波(純正弦波)」になっているかを確認してください。つなぎたい家電が使えるか分からない場合は、家電メーカーに確認してください。
電池の種類:リン酸鉄リチウムと三元系の違い
仕様表の「電池の種類」には、リン酸鉄リチウムイオン電池(以下、リン酸鉄)や三元系リチウムイオン電池(以下、三元系)などと書かれています。
一般的な傾向(寿命・重さ・熱への強さ)
メーカーの解説で説明されている一般的な傾向は次のとおりです。製品ごとの実際の値は、仕様表で確認してください。
| 項目 | リン酸鉄 | 三元系 |
|---|---|---|
| サイクル寿命 | 長いとされる | リン酸鉄より少ない傾向 |
| エネルギー密度 | 低い | 高い |
| 重さ・大きさ | 同じ容量なら重く・大きくなりやすい | 小型・軽量にしやすい |
エネルギー密度は、同じ重さや大きさにためられる電気の量のことです。熱への強さについては、リン酸鉄は熱安定性に優れるとメーカーは説明しています。一方で、リン酸鉄は低温に弱いとする説明もあります。
この記事では、どちらが安全かの優劣は付けません。電池の種類にかかわらず、後で説明する衝撃・高温への注意やリコール情報の確認が必要です。長く充放電を繰り返して使いたいならサイクル寿命、持ち運ぶことが多いなら重さ、というように、自分の使い方で重視する点を決めると選びやすくなります。
サイクル寿命の数字の見方
サイクル寿命は、充電と放電を繰り返せる回数の目安です。メーカーの解説では、充電できる最大容量が新品のときと比べて約20%減った(約80%になった)状態を、寿命の目安としています。つまりサイクル寿命の回数は、「何%まで減ったら寿命と数えるか」という条件とセットの数字です。
この記事では「リン酸鉄なら○○回」のような一般的な回数は載せません。メーカーや解説ページによって、示される回数に幅があるためです。製品を比べるときは、仕様表の「サイクル寿命」の回数と、その条件(何%に減るまでの回数か)をセットで見てください。条件が書かれていない場合は、メーカーに問い合わせると比べやすくなります。電池の種類の違いは、別の記事で詳しく解説する予定です。
そのほかに確認すること:充電・ポート・重さ・UPS・安全・保証
充電方法と充電時間(コンセント・車・ソーラー)
主な充電方法と注意点を、メーカーの解説をもとにまとめます。
| 充電方法 | 注意点 |
|---|---|
| コンセント(AC) | 停電中は使えない |
| 車のシガーソケット | エンジンをかけた状態で充電するよう案内されている(止めたまま続けると車のバッテリーが上がるおそれ) |
| ソーラーパネル | 曇りや雨では発電効率が大きく落ちるか、ほとんど充電できない場合がある。コンセントより満充電まで時間がかかる |
仕様表では「AC充電時間」と「ソーラー入力」(受け入れられるソーラーパネルの最大の電力)を確認します。停電に備えるなら、コンセント以外で充電できる手段があるかも見ておきます。
車での充電について、配線や機器の取り付けはこの記事では扱いません。車とポータブル電源の取扱説明書を確認し、分からない点は自動車メーカーとポータブル電源のメーカーに確認してください。
ポートの種類と数
ポート(差し込み口)は、ACコンセントの口数、USB-Cの口数と最大出力、シガーソケット出力の有無を確認します。使いたい機器のプラグの形と、同時に挿したい数を書き出して、仕様表と照らし合わせてください。USB-Cでノートパソコンなどを充電したい場合は、USB-Cの最大出力が機器に必要な電力を満たしているかも見ておきます。
重さとサイズ
同じ容量なら、リン酸鉄はエネルギー密度が低いぶん重く・大きくなりやすいとされています(メーカーの解説)。持ち運ぶのか、家に置いて使うのかで、許容できる重さを先に決めておくと候補を絞れます。
UPS機能(停電時の自動切り替え)
**UPS(無停電電源装置)**は、停電したときに電池からの給電に切り替えて、つないだ機器を動かし続ける仕組みです(日本電機工業会)。ポータブル電源にも「UPS機能」をうたう製品があります。
ただし、切り替えにかかる時間の表記は製品によって異なり、0ミリ秒ではない製品もあります。あるメーカーの製品ページでは、停電時は約20ミリ秒で電池からの給電に切り替わるとしたうえで、0ミリ秒の切り替えには対応していないため、データサーバーや医療機器など、不具合が起きると人命や財産に重大な危険を及ぼしうる用途での使用は控えるよう注記しています。
仕様表の「UPS機能」の有無だけでなく、切替時間の表記と、使用を控えるべき用途の注記も確認してください。UPS機能については、別の記事で詳しく解説する予定です。
安全面:PSEマークの扱いと、買う前に確認できること
家電を選ぶとき、PSEマーク(電気用品安全法にもとづく表示)を目安にする方もいるかもしれません。ただし、交流を出力するポータブル電源の本体は、この法律の規制対象外と説明されています。
日本品質保証機構は、交流を出力するポータブル電源は電気用品安全法の規制対象外としています(2024年6月の掲載)。経済産業省の電気用品安全法のFAQにも、交流を出力できるポータブル電源はモバイルバッテリーとして扱わず、同法の対象外とする趣旨の説明があります。また、経済産業省の委託調査の報告書(2023年3月)には、本体とは別に、充電に使うACアダプター(直流電源装置)は同法の規制対象とする記載があります。
そのため、ポータブル電源の本体については、PSEマークがあるかどうかだけでは判断できません。
法律とは別の任意の第三者認証である「Sマーク」には、ポータブル電源向けの追加基準があります。日本品質保証機構によると、経済産業省主導の検討会がまとめた「ポータブル電源の安全性要求事項(中間取りまとめ)」がSマーク認証の追加基準として採用され、2024年6月3日に制定・適用されました。電気製品認証協議会の追加基準一覧にも掲載されています。Sマークも判断材料のひとつで、付いていればほかの注意が要らないというものではありません。この項の内容は2026年10月19日時点の情報です。最新の扱いは経済産業省の情報で確認してください。
購入前と使うときの注意として、公的機関は次のことを呼びかけています。
- 購入前にリコール情報などを確認する(NITE)
- リコール対象の製品は、異常がなくても直ちに使用を中止し、販売店か製造事業者に連絡する(NITE)
- 落下など強い衝撃を与えない。衝撃の後に発熱や変形などの異常があれば使用をやめ、製造・輸入・販売事業者の修理窓口に相談する(消費者庁)
- 高温の環境での使用は控える。屋外では防水・防塵性能のある製品の使用を検討する(消費者庁)
保証とサポート
仕様表の「保証期間」に加えて、修理や問い合わせの窓口、使い終わった製品の回収サービスの有無も、買う前に確認しておきます。処分についてメーカーや販売店へ問い合わせるよう案内している自治体もあります(後の「処分」の項を参照)。
用途別:停電・防災/キャンプ/車中泊で先に見る項目
| 用途 | 先に見る項目 |
|---|---|
| 停電・防災 | 容量(何を何日分動かすか)、定格出力(同時に使う家電)、出力波形(正弦波)、UPS機能、ソーラー入力(停電中はコンセントで充電できない)、保管のしやすさ |
| キャンプ | 重さ・サイズ、使う家電と時間から出した容量、ソーラー入力(天候で変わる)、使用温度範囲、防水・防塵 |
| 車中泊 | 夜に使う家電と時間から出した容量、シガーソケット充電(エンジンをかけた状態で)、車内に置きっぱなしにしない、使用温度範囲、出力波形(電気毛布など) |
停電・防災
内閣府は、停電しても自宅で過ごせるよう、冷蔵庫や電子レンジが使えない状況を想定した調理の手段や、冷暖房器具が使えなくても暖(涼)をとる手段を備えるよう呼びかけています。東京都の被害想定では、首都直下地震などの場合、電力の復旧まで約4日とされています。これは東京都の想定で、ほかの地域や災害にそのまま当てはまる数字ではありません。
何を何日分動かしたいかを決めたら、容量の章の式で計算します。停電中はコンセントで充電できないため、ソーラー入力などほかの充電手段も確認しておきます。停電への備え方は、防災・停電対策のカテゴリにまとめていきます。
キャンプ
持ち運ぶことが多いので、許容できる重さを先に決めてから容量を考えると絞り込みやすくなります。ソーラーでの充電は天候で大きく変わります。暑い時期や寒い時期に使うなら、取扱説明書で使用温度範囲を確認してください(温度の目安は後の「保管と温度」の項を参照)。防水・防塵性能も確認します(上の「安全面」の項を参照)。
車中泊
夜に使う家電と使う時間から容量を計算します。車で充電する場合、シガーソケット充電はエンジンをかけた状態で行うようメーカーは案内しています。
リチウムイオン電池を使う製品は外部からの熱に非常に弱いため、真夏の車内など高温になりやすい場所に放置しないよう、NITEはモバイルバッテリーについて注意を呼びかけています。ポータブル電源についても、消費者庁が高温の環境での使用を控えるよう呼びかけているので、車内に置きっぱなしにしないようにしてください。電気毛布を使う場合は、位相制御式など正弦波が必要なものがあるため、出力波形も確認します。
買う前に知っておきたい「買った後」のこと:保管・処分・飛行機・医療機器
保管と温度
長期間使わない場合は、箱に入れて直射日光の当たらない冷暗所で保管するよう、消費者庁は呼びかけています。
ポータブル電源は、使っていなくても少しずつ電気が減る(自己放電)ため、知らないうちに残量が0%になるおそれがあります。メーカーの解説では、3か月に1度は残量を確認し、60〜80%(または推奨の残量)まで充電する例が紹介されています。推奨は製品ごとに違うので、取扱説明書で確認してください。
同じ解説では、取扱説明書の動作温度範囲(例:約0〜40℃)の中で使うよう案内されており、約45℃以上では劣化が早まり、約0℃以下では性能が落ちて突然止まることもあるとされています。充電についても、5℃を下回る環境では正常に動作しないことや急に充電が切れることがある、という説明があります(メーカーの解説)。適正な温度は製品ごとに違います。
処分のしかたは自治体とメーカーで違う
家庭から出るリチウムイオン電池や、それを使った製品は、お住まいの市区町村のごみ捨てルールに従って捨てるよう環境省は案内しています。電池は強い衝撃や高温で発火することがあり、ごみ処理施設で火災が起きています。
充電式電池の回収を行っている一般社団法人JBRCでは、AC100V出力付きのポータブル電源は「回収対象外電池」とされています。自治体の扱いもさまざまで、たとえば川崎市はポータブル電源の処分についてメーカーや販売店へ問い合わせるよう案内しています。大阪市北区は、モバイルバッテリーの回収対象に「ポータブル電源装置」を含めていますが、普通ごみで収集できる大きさのものに限っています。
制度を見直す動きもあります。国の審議会の資料(経済産業省、環境省 2025年10月、環境省 2026年3月)では、ポータブル電源を小型家電リサイクル法の対象品目に追加する方向が示され、2026年度中の政令改正を目指すとされています。この記事の確認時点(2026年10月19日)では、政令改正が行われたことは確認できていません。
捨てる前に自治体とメーカーに確認を
ポータブル電源を捨てるときは、ごみの区分を自己判断せず、お住まいの自治体とメーカーに確認してください。買う前に、メーカーが使い終わった製品を回収しているか、その条件も確認しておくと安心です。
飛行機への持ち込み
国土交通省は2026年4月24日から、機内に持ち込めるモバイルバッテリーを2個まで(160Wh以下に限る)とし、機内でモバイルバッテリーに充電することや、モバイルバッテリーからほかの機器に充電することも禁止しています。モバイルバッテリーを預け入れ荷物に入れることは、以前から禁止されています。
また、政府広報オンライン(2026年4月24日掲載)では、160Whを超えるものは機内持ち込みも預け入れもできないとされています。Whの表示がない製品は、事前にメーカーに確認するよう案内されています。
ポータブル電源がこれらのルールでどう扱われるかや、160Wh以下の製品の扱いは、航空会社への確認が必要です。航空会社によって、より厳しいルールを設けている場合もあります(国土交通省)。
飛行機で運ぶなら航空会社に確認を
製品の容量(Wh)の表示を確認し、搭乗する航空会社に事前に確認してください。ルールは2026年4月に変わったので、最新の案内を見るようにしてください。
医療機器に使いたい場合
医療機器への給電は、主治医と医療機器メーカーに確認を
- 内閣府は、電力供給を必要とする家庭用医療機器を使っている場合、予備バッテリーや代替手段を備えるよう呼びかけています。
- UPS機能をうたうポータブル電源でも、切り替えが0ミリ秒ではないことから、医療機器など止まると重大な危険を及ぼしうる用途での使用を控えるよう、メーカーが注記している例があります(上の「UPS機能」の項)。
- 正弦波でないと不具合が出やすい機器の例として、医療機器を挙げているメーカーの解説もあります。
- ポータブル電源を医療機器の電源として使えるかどうかは、自己判断せず、主治医と医療機器メーカー(提供会社)に確認してください。
- 在宅で人工呼吸器を使っている方向けに、国の補助を受けて医療機関が簡易自家発電装置や予備バッテリーを購入し、患者に貸し出す事業を案内している自治体もあります(埼玉県の例)。制度の有無や内容は、お住まいの自治体と主治医に確認してください。
まとめ:ポータブル電源を買う前のチェックリスト
- 使う家電の消費電力(W)× 時間(h)を足し、0.8(目安)で割って必要な容量(Wh)を出した
- 定格出力が、同時に使う家電の消費電力の合計を上回っている
- 起動時に大きな電力が必要な家電(電子レンジ・冷蔵庫・エアコンなど)は、瞬間最大出力も確認した
- 出力波形が正弦波(純正弦波)か確認した
- 電池の種類と、サイクル寿命の回数・条件(何%まで減るまでか)を確認した
- 充電方法(コンセント・車・ソーラー)と充電時間を確認した
- ACコンセントやUSB-Cなどのポートの数と最大出力が、使う機器に足りている
- 持ち運べる、または置ける重さとサイズである
- UPS機能を使うなら、切替時間と使用を控える用途の注記を確認した
- 購入前にリコール情報を確認した
- 保証期間、修理の窓口、回収サービスの有無を確認した
- 保管のしかた(残量・温度)を取扱説明書で確認した
- 処分のしかたを自治体とメーカーに確認した
- 飛行機で運ぶなら、Wh表示を確認して航空会社に問い合わせた
- 医療機器に使いたいなら、主治医と医療機器メーカーに確認した
条件が決まったら、製品ページの仕様表をこのリストと見比べてください。ポータブル電源の記事はポータブル電源のカテゴリにまとめていきます。